英文読解力を身につける方法

Homan由佳の英語で女子力アップ

日本の若者の文章読解力低下

前回のブログ「AI時代の夢の翻訳機」で紹介した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』では、読解力不足の子どもたちの実態が明らかになりました。AIに職を奪われるのではないかという危機感を感じる中、若者がこれからの時代に養うべき能力の一つが、AIを上回る「読解力」であるという点、私も同感です。

読解力不足は母語である日本語の問題にとどまらず、英文読解力にも影響します。日本語で新聞を読んで理解できない人が英字新聞をスラスラ理解できるとは考えにくいことですから(もちろん、バイリンガルや帰国子女などの特別のケースを除いてですが)。概して、英語の長文読解を苦手とする人は多いのですが、読解力不足が深刻化すれば、単語や文法が理解できていても文章の意味が取れない人が今後増えることになります。最近、学生からTOEICのPART7 Reading Comprehensionのスコアに伸び悩んでいるという声をよく聞きます。実際に問題の難易度が上がっていることも考えられますが、受験者の読解力低下が少なからず影響しているのかもしれません。

「ざっくり」「じっくり」「ワクワク」読解法

では英文読解力を磨くにはどうしたら良いのでしょうか。応用言語学の言語習得の分野では、認知学習 (Cognitive Learning) の一環として、2つの情報処理モデルを応用した古典的な読解アプローチがあります。1つは、単語、句、文章を一つ一つ丁寧に読みくだいていく「ボトムアップ式」と呼ばれる読み方、もう1つは書かれているテキストの情報と読み手自身の知識を交互に処理しながら読み進める「トップダウン式」の読み方です。

私は英文読解力を鍛えるにはこの2つのアプローチを両方意識して使うことが大切だと考えています。具体的には、「熟読」「速読」「多読」などの読み方を目的に合わせてバランスよく使うことで、脳の情報処理を活性化するというわけです。例えば、英字新聞のトップページの見出しだけを拾い読みするとか、社説の部分はじっくり読むとか、ビジネス文書を斜め読みするとか。ざっと欲しい情報だけを取り込む「ざっくり読み」にはトップダウン処理が優先されるでしょうし、正確に読み込むために辞書を使うなど時間をかける「じっくり読み」ではボトムアップ処理への依存度が大きいことになります。

加えて、方法論など面倒なことは考えずに読書好きにオススメしたいのは「多読」や「味読」です。いわゆる「ワクワク読み」は、自分が選ぶ好きな洋書を自分のペースで読破する読み方です。学習者用にgraded readersという多読用の本もあります。

昔々、私が手にした最初の洋書のペーパーバッグは、Back to the Future (1985) でした。映画を観て面白くて感動し、絶対原書で読みたい!と興奮して読みふけったのを覚えています。わからない単語がたくさんありましたが、5回以上映画を観ていたので、ストーリーを推測しながら読むことができました。一冊読み終えると自信がついて、また別の大好きな映画の原作を読み始める習慣がつくようになったのです。 知らず知らずのうちに単語力もつくようになりました。

理論面から、また自分の体験から得た実践面でもこの読解法は有効だと思います。実は、私はかれこれ10年以上、この英文読解法(ホーマン流の名称は「ざっくり」「じっくり」「ワクワク」読解法)を企業や大学でご紹介しているのですが、自分でも驚くのはまだ廃れていないということです。それは私が新しい教授法を更新していない怠け者だからという訳ではなく、言語習得理論や教授法が10年、いえ20年経ってもそれほど変わっていないからなのです。もちろん、世界を席巻するデジタライゼーションが猛烈な勢いで進んでいて、画期的なAI通訳機などが人間に代わって英語でコミュニケーションを取ってくれるわけですが、変化を遂げているのはデジタル化から生まれたデバイスだけで、言語習得理論としてはここ20年を振り返っても革新的な発見はないように感じます。もちろん外国語習得にはヒトの脳のどの部位が使われているのかといった研究は進んでいますが、脳そのものが進化しているわけではないようです。英語習得理論や英語教授法に斬新で効果的なアプローチが生まれないのは、そんなことが背景にあるのかもしれません。

「読む」ことも「書く」ことも思考力と直結しています

今、読解力不足を改善する教育が必要とされていますが、それは高校生や大学生だけの問題ではありません。仕事上、emailやビジネス文書を正確に読めなければ、相手の意図を汲み取ってメッセージを書いて伝えることはできません。それが英文となればさらにコミュニケーションギャップは広がる可能性があります。大げさに聞こえるかもしれませんが、英文読解力不足はグローバル化する日本の企業活動の生産性を低下させる恐れもはらんでいるのです。「読む」ことも「書く」ことも思考力と直結しています。AI時代こそ、この二つの能力を強化する訓練が必要なのだと思います。

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Yuka Homan

Yuka Homan

ジーワン・コミュニケーションズ取締役。立正大学教授。専門はメディア英語、英語教育。 仕事で英語と長く接してきた経験をもとに、英語を外国語として学ぶ者として、また英語を教える立場から日々感じることや、内面から女子力をアップするようなちょっとした知識もとりいれつつ、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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