コロナ禍で考える:対面 vs リモート(オンライン)

Homan由佳の英語で仕事力アップ

大学での授業のオンライン化の流れ

私の職場の大学という教育機関も、現在の授業形態は基本的に「対面」ですが状況に応じて「リモート(オンライン)」や「ハイブリッド」の授業でプロフェッショナルに対応することが求められていますが、常にプランBを念頭に置いて行動すべきなのはどの業種でも同じだと思います。そのためには教員の意識改革も必要で、講義も実習も創意工夫なしでは大学教育の質の維持を支えられなくなりました。授業で学生に「何を伝えるか」だけでは不十分で「どのように伝えるか」という視点が重要になってきました。

2020年春の新学期から、教育を止めないための応急処置として全国的に大学で授業がオンライン化されました。他に選択肢の余地なく、突然提示された授業形態にほとんどの大学教員は馴染みがなく、通信環境などのインフラも整わないままの見切り発車でしたが、大きな混乱もなく1ヶ月程度で私達は授業のオンライン化に慣れていきました。

オンラインが教育の質を落とすことにはならない

各科目の履修者数や授業方法に応じて、同時双方向(リアルタイム)型、オンデマンド型(ネット配信)、資料配信型の3つの授業形態があるのですが、語学授業の場合は少人数で進める同時双方向型の授業が最適です。オンラインへの移行によって教育の質を劣化させたり、学生に不利益をもたらさないために、2020年秋学期から対面授業に戻す動きがありましたが、外国語担当の教員はここに違和感を感じていたはずです。感染リスクが高まっている中で実施される授業をオンラインから対面に戻すメリットはないと感じたからです。

マスク着用でソーシャルディスタンスを取りながらグループディスカッションをしても教育の質は低下するばかりです。マスクによって発話や発音矯正が難しいということもありますが、インタラクションの際に意思疎通を図るための重要なシグナルとなる顔の表情(特に口元)が見えないことが外国語のオーラルコミュニケーション指導を難しくしてしまうのです。

その点、テレビ会議方式のZoomやMicrosoft Teamsを利用した同時双方向の授業は平時の対面授業よりも効率的なインタラクションが実現できる場合もあります。(多くの学生がオンラインの方が発言しやすいと言っています。)特にブレイクアウトルーム(*1)の機能は2020年春以降、驚くべきスピードでユーザーに使いやすくアップデートされてきました。語学の授業でも細やかな対人コミュニケーション、特に異文化間のコミュニケーションでは対面が望ましいですが、オンラインが対面と比較して教育の質を落とすことにならないというのは日々の授業を通して確信しているところです。

*1) ブレイクアウトルームとは、開催しているオンラインミーティングにおいて、参加者を少人数のグループに分けてミーティングを行える機能。個別でディスカッションしたい際やグループワークなどに活用可能。
ブレイクアウトルームに分かれているとき、他のルームからは話している内容やチャットに書き込まれた内容は分からないようになる。

海外留学と大学の英語教育のオンライン化

また、大学の英語教育のオンライン化という点からみると、パンデミックはここ数年関心が高まってきた海外留学に確かに急ブレーキをかけることになりましたが、海外の大学では質の高いオンライン海外語学研修プログラムを開講しているので、留学の流れを止めずに英語研修を継続することができています。Zoomで同時双方向とオンデマンドを組み合わせた研修で、バーチャルで観光や博物館も見学できるようです。もちろん、現地で対面で英語を学んだり異文化と触れ合う方が楽しく学習できるのは言うまでもありません。しかし、オンラインで英語4技能を効果的に習得するプログラムと熟達した英語教員が5週間細やかな指導をしてくれたカナダのオンライン語学研修は大盛況でした。

海外の大学の取り組みで気づくのは、日本と比べると授業運営のオンライン化が非常に進んでいるということです。アメリカをはじめとする大学のオープン・エデュケーションは20年ほど前にすでに構築されていました(ジーワン・コミュニケーションズも創設時、当時脚光を浴びていた米国のLMSを使用していたはず)。当時、世界のトップレベルの大学の有名な教授の講義を無料で受けられることを知って驚いたことを記憶しています。日本の大学は欧米に比べて教育のIT化が進んでこなかった経緯があるのだと思いますが、現在のパンデミック下における授業のオンライン化は全世界的な動きです。これを機に海外の大学とのネットワークを深めて大学教育のオンライン化が進むことを期待しています。

オンライン授業の今後を思う

個人的には、コロナが収束しても企業のリモートワークを選択肢の1つとして継続的に実施することに賛成しますし、大学のオンライン授業も授業形態の1つとして残存もあり得るのではないかと考えます。対面授業とオンライン授業の共存(ハイブリッド授業)の見通しについて、教育のIT化の再開の動きを進め、未来の大学教育について関係者が議論を重ねていくことも必要となるでしょう。

9月に入って秋の新学期開始までわずかとなりました。コロナ禍で入学した大学1年生も2年生の後半を迎えることになります。「オンライン授業で得たことは大きかった」といった学生の声が増えるよう教員も引き締めていかないと!皆様、新型コロナ感染症の蔓延は長引きそうです。くれぐれも気をつけてお過ごしください。

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Yuka Homan

ジーワン・コミュニケーションズ取締役。立正大学教授。専門はメディア英語、英語教育。 仕事で英語と長く接してきた経験をもとに、英語を外国語として学ぶ者として、また英語を教える立場から日々感じることや、内面から女子力をアップするようなちょっとした知識もとりいれつつ、徒然なるままに書いていきたいと思います。
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